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【ストーリー】
昭和30年代。巨大企業・国民航空社員の恩地元は、労働組合委員長を務めた結果、会社から10年におよぶ僻地での海外勤務を命じられた。
かつて共に闘った同期の行天四郎が組合を抜けてエリートコースを歩みはじめる一方で、恩地は家族との長年にわたる離れ離れの生活で焦燥感と孤独に追いつめられ、本社への復帰を果たすも不遇な日々は続くのだった。
そんな中、航空史上最大のジャンボ機墜落事故が起こり…。


3時間強という超大作ながら
最後まで退屈することなく楽しめた

言うまでもなく1985年の日本航空機墜落事故がもモデルになっており
フィクションと銘打っているがある種のノンフィクション。
それ故のリアリティを楽しむ部分もあるが、話の核心は墜落事故ではなく

国民航空の腐敗とトップ層の社員を軸に、関連会社、政治家と魑魅魍魎蠢く人間達の争いがテーマ
報復人事
役員不正経理
利益供与
贈賄

その中で愚直な程自分の信念のみを貫き会社の中枢から消えていく男・恩地(渡辺謙)と
地位を得る為に奔走し他人を蹴落とし、上り詰めることで周りから人が消えていく男・行天(三浦友和)
の対比

白い巨塔の財前先生と里見生先生と気付けば全く同じ。
豊子は本当にこういう男の描き方が好きなのね・・・


二人とも家庭を顧みない仕事馬鹿の昭和型サラリーマンと共通項を持ちながら

恩地は誰かの為に精一杯頑張っているつもりだけで、全体を俯瞰して見渡す事が一切できておらず
結局のところ家族を同僚を仲間を苦しめているだけ。
自分の正義を貫くことは崇高で美しい
実際に自分も映画を観ているは恩地に感情移入していたが
観終えてから冷静になってみると随分自分勝手な男とも取れるなとも思えるようになってきた。
人間性の部分では信頼はおろか、尊敬すらできるが自分の上司だったら絶対に嫌なタイプ
父親としてもNGかも・・・
キャラが濃すぎてリアリティには少々欠けるが昭和の男が持つ美徳を垣間見たような気がする

一方行天は
人間性の欠片もないような冷徹な男に見えるが
会社を変えようと思えば恩地のように
誰から構わず張り合って対立して、その結果日本から遥か遠くの僻地に飛ばされては何もできない

行天が出世する為に取った手段は
勧善懲悪で言えば悪かもしれないが
支配層に辿りつかなければ、会社に対して小波すら立てられないのだから正しい行いともとれる
こういう上司に着いていけば間違いなく出世できるだろうが
人望は恐らくない。利害関係でしか付き合えないので絶対に友達にはなりたくないタイプ(東京地検特捜部に囲まれて、会社を見上げる三浦友和の演技良すぎ)

そんな行天もまた、日本的なサラリーマンとも言えそう。


これだけの大作で登場人物が多いと
どの登場人物に感情移入するかで全く感想が変わってきそうだ
航空事故における被害者遺族の視点に立って映画をみれば
行天なんて憎んでも憎み足りない極悪人にしか過ぎないだろうし
遺族の為に働こうとする恩地はとっても良い人だろう



人間なんて立場が違えば責任も変わる訳で
側面だけみて何が正しいだの間違っているだの考えるだけ不毛なのかもしれない。


ラストに映る
人間の業を洗い流すようなアフリカの夕日をみながら
そんな事と
結局のところ沈まぬ太陽なのは豊子の財布だよな

なんて思えてしまった。


これだけ日本航空が騒がれている今日この頃
映画化に踏み切った製作者サイドには敬意を表したい
願わくばCGはあまりにしょぼすぎたので何とかして欲しかったけど、まぁそれは言うまい。

館内はOver50
しか入館できないのかと思うほど年齢層が高かったけど
若い人が見ても十二分に楽しめる映画だと思う

これ以上豊子の財布を厚くしてたまるか!と思う人以外は映画館で見ることを勧めます笑顔